今週のお題「名作」
名作と呼ばれる作品は何冊かは読んでみたけれど私には響かなかったものが多かったように思う。
もし名作を読んで感動したのなら此処で名前を挙げているだろうから。
私が名作だと思ったものは学生の頃に読んだ一冊の本で後に日本書紀などへの関心を深めていったものだろう。
今は亡き作家で、氷室冴子さん著
『ヤマトタケル』
残念ながら現在では絶版になっているらしく未だに手放してしまった事を後悔している一冊でもある。
難しい話なのにとても読みやすく、なんといっても登場人物の心の声をそれぞれの立場で表現されていたものは、私はそれまで読んだことがなく強烈な印象だった。
その本を手に取ったキッカケは
が面白かったという簡単な理由からだった。
紙質も他のコバルト文庫の書籍とは違い挿絵も素晴らしく綺麗で物語に彩りを添えていたのを覚えている。
印象に残っているのは、ヤマトタケルは命を落としたあと白鳥になり大和の地へ飛び去ったという伝承部分がとても美しく描かれていたところだろうか。
あんなにも清々しいほどに美しいと思った場面はない。
その後も読み返す度に毎回、瞳を潤ませたことを今でも思い出す。
いつの日か再び、あのような作品に出会えたら幸せだと思ってはいるが、現在に至るまで出会えていない。
青春時代の思い出の一冊である。