数年前の冬の日。
温かく優しい陽射しが窓から差し込んでいる。
その日は疲れが酷くベッドに横になって休んでいた。
窓から見上げる外の景色は澄み切った青空に時々陽射しを遮る白い雲。
こんなにゆっくりと空を見上げて過ごすことは10年以上はなかったように思う。
体の疲れは勿論だけど心の疲れまでゆっくりとほぐされていくようだ。
ひとり部屋で過ごしている。
誰もいない。
とても静かだ。
時折り風が窓を叩く音がするだけ。
子供の頃から叶えたかったことの1つは穏やかな1人の時間。
それが叶ったことに喜びを感じると同時に疲れ切っている自分自身を悲しくも思う。
冬の日差しは他の季節とは違い柔らかく優しい温かさがあると思っているのは私だけだろうか。
いま、私はそれをここで独り占めしている。
なんて贅沢だろう。
静かに瞼を閉じてひと眠りする。
目を覚ました時に窓から差し込んでいた日差しはわたしの体から離れていこうとしていた。
日の入りが早い冬の温かな時間はあっという間に過ぎていってしまう。
贅沢な時間が終わろうとしていることに寂しさを覚えながら私はまだ身体を横にしている。
次にこのひとときを味わえるのはいつだろうか。
その時は、お気に入りの椅子に座って過ごしたい。